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彼女を護るのは俺の使命④

مؤلف: 藍沢咲良
last update تاريخ النشر: 2026-10-13 05:00:00

ところが。里香だけでなく、ユリまで現れた。俺がロミオでバイトしてるのをどこで聞きつけたのか。タイミングが良いのか悪いのか、ユリがロミオに来たのは俺が短期留学をしている最中だった。

ももちゃんにユリの話をさせるなんて。ユリは高校のときに性欲を満たす為だけに付き合うことを承諾した相手だった。俺にとってはセフレだった。でもユリにとってはそうでは無かったらしい。「それでもいい」って言い切ったのはユリなんだけどな。

帰国後、スマホに辛うじて残っていたユリの連絡先をタップした。会うことになったが、ただひたすら面倒くさい。

結論から言うと、上手い具合に嫌われた。

「俺の彼女は、小学校に入る前から惚れていた相手だ。お前の入る隙は無い。だから言ったろ?身体だけならいいけど付き合う気は無いって。お前、理由を全く聞こうとしなかっただろ」

「で、でも……!私、蒼が初めてだったし、やっぱり好きだし……」

「そんなこと言われても困る。何回でも言うけど、俺は今付き合ってる彼女を愛してるんだよ。
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  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命⑧

    ──どうしてこうなった。目の前には何故か勝ち誇った表情の里香。斜め上には絶対に目を合わせるものかと意志が丸わかりの、顔を強張らせたももちゃん。何でよりによってB6しか空いてなかったんだよ。ていうか朔兄ぃ……。ロミオに着いたタイミングで朔兄ぃのスマホが鳴った。「はい早乙女」早乙女とは、朔兄ぃの苗字だ。電話に出ると、一段と声が低くなる。ハードボイルドな朔兄ぃ、かっけえ。「──何?そうきたか……ああ、今出先でな……ああ、またかけ直す」朔兄ぃは通話を終えると、気まずそうに俺に告げた。「ちょっと仕事の電話がな、その、長くなりそうなんだ。先入っててくれるか」無理言って今日は来てもらっているんだ。俺に何かを言う権利は無い。「はい!先に入ってます!」嬉しそうに答えるんじゃない。確かに朔兄ぃが再び電話に戻ったら俺と里香だけか。長くなるとは言ってたけど、きっと朔兄ぃはすぐに戻ってくれるはず。仕方無く、里香と2人だけの状態でロミオのドアを開けた。「いらっしゃいませー。お客様…………2名様でよろしいですかー?」一瞬固まったであろうももちゃんが定型文で乗り切ってるのが見えた。違う、違うんだももちゃん。このあとすぐに、朔兄ぃも来るから。こいつと2人きりでロミオに来るだなんて、そんな意味不明なことする訳ないだろう。この俺が。朔兄ぃが俺達のもとに戻ったのはそこから1時間も後にだった。「悪いな。何とか収まったっぽい」「大丈夫です。大変ですね、警察官って」だから首を傾げるなと。全てを諦めた俺の顔はきっと今死んでいる。ももちゃんはというと、朔兄ぃが戻ってくる直前に休憩に入ったらしい。朔兄ぃに店長がお冷とおしぼりを出した。「あ、すみません。もう出ますので。お前ら、もういいだろ」お前らって言わないでくれよ朔兄ぃ。

  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命⑦

    「うわああああっ!」出てもない涙が出ている風を装って顔を覆うという演出、おつ。でもこいつの声がデカ過ぎてかなりの迷惑だ。メニューを手に取り、里香が注文したドリンクの値段を確認する。550円ね。財布から小銭を取り出す。店員は俺達のテーブルになかなか近づけず、俺のオーダーは取られていなかった。手を挙げ店員を呼ぶ。「すみません、すぐに出ますんで。これ、お代です。ほら、迷惑だから行くぞ」「行かないっ!蒼があの人と別れて私と付き合うまで行かないっ!」困り果てた店員と顔を見合わせて途方に暮れていた。その時だった。「迷惑だって言われてんだろ。早く外行けよ。マジで通報するぞゴラ」いつの間に移動していたのか。朔兄ぃがドスを効かせた声で顔を覆ったままの里香の真横に立った。朔兄ぃ、マジで怖え。顔を上げた里香は口を開けたまま固まっていた。その頬には何も流れていなかった。「ストーカー規制法第十三条。ストーカー行為をした者は、一年以下の拘禁刑又は百万円以下の罰金に処する。知らねえわけじゃねえよな?」淡々と条文を述べる朔兄ぃ。ただもう格好いいです。「わ、私、ストーカーなんかじゃ」いやいやいやいや、お前、マジで立派なストーカーだっての!「あのヤバい手紙を送りつけておいてよく言うよ。俺、あれ見て人生で初めて貧血起こしたからな」強気で言ってるはずが。何か俺、言ってる内容もしかして恥ずかしい?「それに俺の彼女への嫌がらせ。知らないとは言わせねえよ?」「い、嫌がらせ、なんて……」「俺と同じ学科のお前のツレが俺の彼女にしつこく嫌味言ってるの、知らないとでも?」目を見開いた。こいつ、やっぱり知ってたな。「そ、そんなの、知らない」あくまでシラを切るつもりか?どう追い詰めるか……。「お客様。大変申し訳ないのですが」「はい。すぐ出ます。こちらこそ迷惑かけて申し訳ない。おい、2人

  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命⑥

    朔兄ぃ指導のもと、里香との面談の日を決めた。『話がある。近いうちに会えないか』既読はすぐについた。『ずっと待ってたよ。明日はどう?』あ、明日、だと……?テンポ早過ぎないか?朔兄ぃにスマホの画面を見せる。「明日の……夕方だったら、たぶん俺動ける」「ついてきてくれるんすか、朔兄ぃ!」ここに絵文字をつけるなら滝のように涙を流しているアレだろう。「相談受けたのにお前が刺されたら、おばさんに何か言われそうだからな」「……その、刺される前提やめてもらえませんか」「今の時点でお前が刺されてないのが奇跡だっつーの」朔兄ぃ、いつからこんなに物騒なこと言う人になったんだろう。警察、やっぱ大変なんだな。俺の就活の候補に警察官は除外決定だな。「お前今、警察大変とか思っただろ」やべ。俺、顔に出てたか。俺の顔をちらりと見るその眼は、昔の朔兄ぃよりかなり鋭かった。「思ってま……思いました。俺にはやれる気がしないって」「甘いな。警察官になる勢いで本気出さないと、好きな女も守れないんだぞ」本気を出さずに守れなかった好きな女がいたのだろうか。めちゃくちゃ気になるけど、今はももちゃんを守る作戦の方が大事だ。黒川駅から2駅離れたところにあるカフェで里香と会うことになった。朔兄ぃから預かった超小型マイクを付けて里香と話す。何かあったら朔兄ぃが駆けつけてくれる手筈だ。行きたくない。でも行かないとももちゃんの身が危ない。そうだ、俺はももちゃんを守るために行くんだ。どんな恨み言も罵詈雑言もどんと来いだ。この世の全てのマイナスワードを俺に浴びせるが良い。待ち合わせ5分前。里香が店に入るのを見届けた朔兄ぃは、里香がいるテーブルの隣の席を陣取った。流石だ。約束の時間になった。腹を括れ!俺。いざ!勢いよくカフェのドアを開けた。思いの外大きなベルの音が頭上で鳴り響いた。

  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命⑤

    『明日、家に来なさい。話があります』里香との遭遇から2日後。おかんからLINEが来た。何これ。文面ちょっと怖いんですけど。俺、特に何もやらかしてないはずだけど。放置する方が怖いから行くけどさ。久しぶりに実家に帰った俺を迎えたおかんは、神妙な顔で俺に数枚の紙を見せた。「何これ?」「まあ、読んで」【許さない許さない許さない許さない許さない許さない……】【速水くんは私の彼氏です。裏切るなんてありえない】【速水くんが愛してるのは私】【速水くんの彼女はあんな女じゃない。私なの】手書きのA4の紙に延々と綴られた文字に、俺は人生初の貧血を起こしかけた。「心当たり、あるんだよね?」「あ、ああ……」駄目だ。目の前がチカチカする。ダイニングの椅子に座ってなかったら、とうの昔に卒倒していただろう。「だいぶヤバそうな相手ってのは確実だね」「ああ……」おかんの言葉に、俺は辛うじて言葉を発した。「で。どうすんの」「どうするって……言われても……」こんなの見せられて。頭がまともに働くわけないだろう。「気持ちはわからないでもないけどさ。早急に手を打っておかないと。相手の子、あんたの彼女のこと知ってるの?」無言で頷いた。何せ、ももちゃんが横にいる状態で物を申したからな。「それはだいぶ……まずいなあ」難しい顔をしたおかんは、おもむろにスマホを取り出した。どこかに電話をかけているようだ。警察だろうか。結構怖い思いはしているが、大事にしたくないのが本音なんだけど。「──お久しぶり。あのね、ちょっと相談したいの。……うん、そう、朔《さく》ちゃんに」……朔兄《に》ぃ?朔兄ぃとは、俺の歳離れた従兄弟だ。妹の梨愛《りあ》さんは密かに俺の初恋……いや、初恋はももちゃんだけど。でも多分、人生で初めて憧

  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命④

    ところが。里香だけでなく、ユリまで現れた。俺がロミオでバイトしてるのをどこで聞きつけたのか。タイミングが良いのか悪いのか、ユリがロミオに来たのは俺が短期留学をしている最中だった。ももちゃんにユリの話をさせるなんて。ユリは高校のときに性欲を満たす為だけに付き合うことを承諾した相手だった。俺にとってはセフレだった。でもユリにとってはそうでは無かったらしい。「それでもいい」って言い切ったのはユリなんだけどな。帰国後、スマホに辛うじて残っていたユリの連絡先をタップした。会うことになったが、ただひたすら面倒くさい。結論から言うと、上手い具合に嫌われた。「俺の彼女は、小学校に入る前から惚れていた相手だ。お前の入る隙は無い。だから言ったろ?身体だけならいいけど付き合う気は無いって。お前、理由を全く聞こうとしなかっただろ」「で、でも……!私、蒼が初めてだったし、やっぱり好きだし……」「そんなこと言われても困る。何回でも言うけど、俺は今付き合ってる彼女を愛してるんだよ。好きとか、そういうレベルじゃない」愛してるとか。歯の浮くような台詞を本気で言うようになったか俺。女取っ替え引っ替えしてた速水蒼が。成長したな、俺。大粒の涙で化粧が崩れまくったユリに刺されなかったのは奇跡だったかもしれない。刃物を持参しないでくれて本当にありがとうだな。何だかんだ疲労感MAXで家に着いた。万が一、俺が刺された時のためにももちゃんに待機してもらっていた。命に関わるからな。今日はももちゃんに甘えよう。もう、ベッタベタに。ベッタベタに甘えよう。俺頑張ったから、きっとももちゃんは優しくしてくれる。ももちゃんのあの、柔らかい胸に今夜は顔を埋めたい。その希望はあっさりと打ち砕かれた。「──反省してんの?」「してます」やべぇ。今日のももちゃん、怖い。「じゃあ今日の晩御飯、居酒屋行こうか」「え。まさか……」続き、聞きたくな

  • 星をくれたあなたと、ここで会いたい 〜原価30円のコーヒーは、優しく薫る〜    彼女を護るのは俺の使命③

    「帰ってくれ。俺は受験終わってない。お願いだから邪魔しないでくれ」窓の鍵は開けちゃいけない。本能がそう叫んでいた。「ええー。速水くん頭良いから余裕で受かってると思ってた。ていうかここ開けてよ」コイツは人の神経を逆撫でする天才か?だからお前のせいで水無瀬大落ちたと心の声では言っただろうが!「とにかく、帰ってくれ」「私ね、受験終わったの」だから何だよ。帰ってくれよお願いだから。「でも遠距離になっちゃうから、引越す前にデートしたかったの。でも速水くんが受験終わってないならしょうがないね。待っててあげる」神様仏様受験の神様。誰でもいいからこいつを追っ払ってください。マジでホントにお願いします。ああもう、首とか傾げなくていいから。俺には全く可愛く見えないからやらなくていいから。「……帰ってくれ!警察呼ぶぞ!」「そんな怒んなくてもいいじゃん」目を潤ませても無駄だっつの。「そっか、受験終わってないんだもんね。しょうがないなあ。ここは私が大人になって帰ってあげる。でも速水くん。受験終わったら絶対LINEしてね?」するわけねえだろ。「ああ。するから帰ってくれ。部屋に戻りたいんだ」絶対LINEなんかしないけどな!「じゃあ待ってるからね。頑張ってね」その上目遣いに、俺はしばらく睡眠中にうなされた。何だコレ。呪いか?水無瀬市立大に受かったのは奇跡だと思う。後期日程の前日以外は睡眠が取れた気がしなかった。前日に睡眠が取れたのは、前日に俺ん家に来てたゆかさんと顔を合わせたからかもしれない。「お、そうちゃん。明日後期だって?」「はい」「そうちゃんなら大丈夫だね。あ。そうだ」玄関で遭遇した、おかんの友達のゆかさんはももちゃんのお母上だ。ゆかさんじゃなくてももちゃんに会えたらいいのに。「これ、あげる」「……パインアメ?」ゆかさんが鞄からごそごそと取り出したのは、3粒のパインアメだった。「桃歌、試験の直前にこれ食べて受かったって。縁起物だから、そうちゃんも」ももちゃんは、どこの大学に行くんだろう。尋ねようとしたけど、逆に気になって集中出来なくなるのも困るから聞かなかった。最悪おかんに聞けば多分知ってそうだし。その日の夜、パインアメを食べた。夜、ぐっすり眠れた。パインアメ、まさかの熟睡できます効果。まじか。当日直前、当然食べた。テストが終わっ

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